借金救済制度とは国が認めた救済方法なの?デメリットや利用後どうなるかなどを解説

2024.10.29

借金をして返済の目途が立たなくなってしまった、収入が減って借金の返済が生活を圧迫するようになってしまった、というときには、借金救済制度について調べてみてください。

借金救済制度って何?怪しいんじゃない?本当に救済してくれるの?と躊躇してしまう方もいるかもしれません。

この記事では、借金救済制度の特徴や手続きの流れ、メリット、デメリットなどについて解説していきたいと思います。

借金を抱えて困ってしまった時には、早めに行動することが大事です。この記事を読んで、今後の参考にしていただけたら幸いです。

目次

借金救済制度とは?債務整理や過払い金請求を指すのが一般的!国が認めた制度という訳ではない

借金救済制度とか、国が認めた借金救済制度とか言われていますが、借金を救済するために作られた国が認めている制度があるというわけではありません。

借金救済制度と言われているものは一般的に、債務整理や過払い金返還請求を指しています。

債務整理とは、

  • 「任意整理」:お金を貸してくれた業者と直接交渉をして返済額を減らしたり、返済期間を延ばすことで月々の返済額を減らして借金の負担を軽くする
  • 「個人再生」:借金の返済計画を再度立て直す再生計画書を裁判所に提出し、それが認められれば、元金を含めた借金総額自体を大幅に減額できる可能性がある
  • 「自己破産」:借金を減らしても返していくことが出来ないと裁判所に認められれば、借金がなくなる

といった手続きのことです。

個人再生や自己破産は法律に則った手続きなので、制度と言われても問題ないですが、任意整理は裁判所も介さず債務者と債権者同士の直接交渉で減額について決める方法なので、制度という言われ方はどうかという声もあります。

過払い金とは、高すぎる利息で以前にお金を借りてしまって払いすぎてしまった利息分のことです。これを返還してもらうための手続きを、過払い金返還請求と言います。

債務整理や過払い金返還請求といった手続きは、弁護士や司法書士といった専門の資格を持った者が行うことがほとんどで、借金で苦しんでいる人を「借金減額」や「借金免除」によって助け、生活を立て直し、経済的自立を図る機会となる方法です。

借金が減る、借金がなくなるなんて怪しい方法ではないの?そんなこと言ってだましているんじゃないか?と思う方もいるかも知れませんが、弁護士や司法書士の取扱業務にもなっている手続きで、債権者との交渉や法律に則って裁判所を通して減額を認めてもらう方法で怪しいわけでも詐欺でも嘘でもありません。

決して怪しいものではないので安心してください。債務整理をすると、本当に借金が減額したり免除されたりする可能性があります。

ただし債務整理の手続きは、自分に合った方法を選択しないと、その後に影響してきます。もっといい方法があったのに!もっと借金が減るかもしれなかった!財産は取られずに済んだかもしれない!ローンを組む予定だったのに…!などと後悔する場合もあります。

債務整理にはデメリットもありますし、債務整理を利用したらその後にも色々な影響があるため、慎重に債務整理の方法を検討しなければなりません。

債務整理は借金を減らす、免除するという良いことだけでなく、新たな返済計画のもと返済を続けていく場合は、返済期間を守れないと結局はまた借金に苦しむことになったり、財産を没収されてしまう手続きもあるため、手続き毎のデメリットや影響についてはしっかりと知っておく必要があるのです。

借金救済制度はどんな借金でも対象になるのかについて解説します

借金救済制度の対象となるものは、主に金融機関からのローン、消費者金融からの借り入れやクレジットカードのキャッシングなどです。「借りている」ものになります。

債務整理の対象例 債務整理対象外の例
・銀行などの金融機関のカードローンや車のローン、住宅ローン
・消費者金融のカードローン
・クレジットカードのキャッシング、分割払いやリボ払い
・奨学金
・個人から借りた借金
など
・税金、社会保険料
・交通反則金(罰金など)
・養育や教育に関わる費用(養育費など)

では、次は借金救済制度として知られている債務整理のメリット・デメリットを見ていきましょう。

借金救済制度と言われている債務整理共通のメリット、デメリットを紹介します!

借金救済制度と一口に言っても、いくつかの種類に分かれます。ここでは、ひとまとめにして、債務整理にどんなメリット、デメリットがあるのか解説していきます。

ひとつひとつの制度のメリット、デメリットは、この後の制度ごとの解説の時に詳しく解説していきますので、どちらでご確認ください。

債務整理共通のメリット

  • 借金を減らしたり、なくすことができる可能性がある
  • 弁護士や司法書士に債務整理の手続きを依頼した場合、債権者からの督促が一時的にストップする
  • 債権者との話し合いや、煩雑な法的手続きを弁護士にお任せできる
  • 借金返済の負担が軽くなり、経済的にも精神的にも現状より楽になる
  • 怪しくない方法で借金減額ができる
債務整理共通のデメリット

  • 信用情報機関に事故登録される(ブラックリスト入り)
  • 一定期間クレジットカードを作ったり使用できない、新たな借り入れも難しい

ここで、信用情報機関に事故情報が登録されるってどういうこと?と思った方も多いのではないでしょうか。いわゆる、ブラックリストに載る、ということなんです。

「ブラックリストに載る」ということはどういうことなのか、説明していきます。

債務整理をするとブラックリストに載るってどういうことなの?

「ブラックリストに載る」とは、個人の収入やローン、クレジットカードの情報を管理している信用情報機関があり、そこに金融事故が登録をされることを意味します。

金融機関などはローンやクレジットカードを作成する時などに、この人はきちんと返済できる人か?という返済能力を見てお金を貸すかどうか判断します。その元となるのが信用情報なのです。

そこに、過去長期間返済を延滞していたり、債務整理をしていたなどのいわゆる「金融事故情報」があると、返済能力が乏しいと判断され、審査に通らずにお金をかりることができなくなります。審査に通りません。

ブラックリストに登録されてしまうと、主にクレジットカードが作れなくなったり、ローンなどの借り入れができなくなったり、携帯の分割払いができなくなったりします。

ただし、安心してください。債務整理をすると、一生お金を借りることができなくなってしまうの?思ってしまう方もいるかもしれませんが、一生ではありません。

信用情報はCIC、日本信用情報機構、全国銀行個人信用情報センターという3つの期間で管理されていますが、会社や業種によってどこで管理しているかが変わります。

信用情報への登録期間 株式会社シー・アイ・シー
(CIC)
日本信用情報機構
(JICC)
全国銀行個人信用情報センター
(KSC)
主な加盟会社 クレジットカード会社、信販会社、携帯電話会社など 消費者金融、クレジットカード会社、携帯電話会社など 銀行、信用金庫、信用保証協会など
任意整理 5年 5年 なし
個人再生 5年 5年 5年
自己破産 5年 5年 10年
信用情報に事故登録されている期間は、債務整理の手続き時期から起算して考えると、7年~10年程度は事故登録されたままと思っておいた方がよいでしょう。

では何がブラックリストに載る要因なのでしょうか?

ブラックリストに載る事柄

  • 61日以上にわたり返済が遅れた場合
  • 代位弁済された(保証会社が債務者に代わりに返済した)
  • 債務整理
  • 借金を返済している期間に過払い請求をした
  • 短期間に色んな業者に借金の申し込みをした(いわゆる多重申し込み)
  • クレジットカードやローンの審査に落ちた

主に以下のような出来事が登録されると、信用情報に事故登録がされます。知らずに複数の貸金業者に申し込んで、審査に通らなかったという事実がブラックリストに載ってしまった!なんてことになったら悲しいですよね。

お金に困ったら、やみくもに借りることはせず、まず下調べを行い、弁護士や司法書士、それから借金問題を扱っている相談機関などにすぐ相談してみるのが先決です。

借金救済制度である債務整理はどんな種類がある?種類ごとの特徴などを解説します

借金救済制度と呼ばれる手続きには大きく分けて2つの手続きがあります。「債務整理」と「過払い金返還請求」です。そしてさらに債務整理は下記のような手続きがあります。

ここでは、まずは債務整理について説明していきます。

任意整理
お金の貸し手と借り手が直接話し合って、将来発生する予定の利息(将来利息)や、返済が遅れたことによる損害金(遅延損害金)のカット、返済期間を延ばすなどで借金返済の負担を軽減することができます。

個人再生
借金を5分の1~最大10分の1まで減らすことができる可能性があります。返済計画を再度立て直して返済していく手続きで、裁判所を通して行う手続きです。

自己破産
裁判所ですべての借金を免除してもらう手続きです。(対象でない借金もあるし、一部は返済義務が残る場合もある)

次からは、一つ一つの手続きをもっと詳しく見ていきましょう。

任意整理はどんな借金救済処置?特徴やメリット、デメリット、向いている人や手続きの流れについて

任意整理は裁判所通さず、お金の貸し手と借り手の間で直接交渉して返済計画を立て直していく手続きです。

借金の将来発生する予定の利息カットをした上で、返済期間の延長による返済計画再建がメジャーで、返済額などによって変わることもありますが、月々の返済を半分から1/3位に減らすこともできます。

任意整理はこんな人に向いています!

  • 借り入れている金額が膨大ではない
  • 利息カットしたことで返済ができる(3年~5年目安)
  • 友人や家族には内緒で借金問題を解決したい
  • 車や家などの財産は自分の手元に残したい
  • 保証人を立てている借金がある
  • 収入があって、月々の返済額を減らせれば借金を返していける

これらは任意整理のメリットでもありますね。

任意整理のデメリット

  • 借金は残るので、返済の必要があり、収入も必要
  • ブラックリストに載る

任意整理はメリットに比較してデメリットが少ない手続きです。しかし、当事者間で交渉していくということは、交渉次第でよくも悪くもなるということです。交渉力が肝になってきます。

始めから任意整理には応じないとしている貸金業者もありますし、交渉が難航したら別の方法を考えていくことも考えなければなりません。

ただ、債務整理の手続きの中では一番リスクの少ない方法と言われています。任意整理を考えたら「交渉力のある」「専門知識を有している」弁護士や司法書士などの専門家に相談してみるのがいいでしょう。

任意整理を考えたときに、弁護士に相談すると進む一般的な流れは以下になります。

任意整理の手続きの流れ

  1. 相談、依頼、着手金の支払い
  2. 債権者に受任通知を送る
  3. 過払い金の有無確認
  4. 返済の計画を立てる
  5. お金の貸し手と交渉・和解
  6. 合意した返済計画のもと、返済スタート

1~6までの期間はおおむね6~9か月間です。和解が成立したときに、弁護士に報奨金を支払うのが一般的です。

個人再生はどんな借金救済処置?特徴やメリット、デメリット、向いている人や手続きの流れについて

個人再生は裁判所を通す手続きで、借金を8~9割減額できる可能性がある手続きです。残りの借金については基本的には3年を目安に返済していきます。

民事再生法という法律で決まっている方法で、借金に困っている人が生活を立て直せるように助けることを目的としています。

また、個人再生には住宅ローン特則が使えます。

住宅ローン特則とは、住宅資金特別条項のことです。住宅ローンの借金は組み込まずにほかの借金の返済計画を立て直せるので、家を守れるメリットがあります。

住宅ローン特則を使うメリット

  • 自分の家に住み続けられる
  • 家や土地が差し押さえられたり、競売にかけられるのを防ぐことができる
  • 住宅ローンの返済計画を再度組みなおすことができる

ただし、住宅ローン特則は誰でも使えるわけではありません。

個人再生の申立人本人の所有している住宅で今後住み続けるのも本人であるのかや、その借金が住宅ローンとして借りているものなのか、家がほかの借金の担保になっていないかなど、いくつかの条件をクリアしなければなりません。

滞納で代位弁済されてしまった後は、半年以内に個人再生の手続きを開始する申し立てを行っていなければならないなど、時間に制限もあります。

個人再生はこんな人に向いています!

  • 借金の金額を8割から9割減らせば3年~5年を目安に返していける
  • 持ち家に住み続けながら借金を減らしたい

任意整理と比較すると借金の減額幅が大きいのが特徴です。

個人再生のデメリット

  • 使えるのは100万円以上の借金がある人
  • ブラックリストに載る
  • 官報に名前と住所が載る
  • 難しい手続きで、手続きに時間がかかる(1年以上かかることも多い)
  • 手続きにかかる費用が高い

官報とは、国の大事な知らせを伝える新聞のようなもので、国や各省庁、裁判所などでの決定が掲載されているものです。

この官報に長く名前と住所が載ったり、手続きに費用も時間もかかってしまうのは個人再生のデメリットと言えるでしょう。

しかし、マイホームを残せて借金を大幅に減額できる方法でもあるので、メリットとデメリットを知り、自分にとって合っている方法なのか考えてみるのもいいでしょう。

次に、個人再生の手続きを弁護士に依頼した場合の手続きの流れを解説します。

任意整理を考えたときに、弁護士に相談すると進む一般的な流れは以下になります。
1~3までは任意整理のときと同じです。

個人再生の手続きの流れ

  1. 相談、依頼、着手金の支払い
  2. 債権者に受任通知を送る
  3. 過払い金の有無確認
  4. 申し立てに必要な書類(個人再生申立書)を作成
  5. 地方裁判所に個人再生の申し立てを行う、個人再生委員の選任や履行テストをする場合もある
  6. 認められたら個人再生の手続き開始
  7. 再生計画案の提出
  8. 債権者決議、意見聴収
  9. 裁判所で再生計画案が認められれば、返済開始

5の段階で手数料や予納金などの裁判所の費用を支払うのが一般的で、履行テストをする裁判所では、半年程度分割予納金を払うこともあります。弁護士への報酬は再生計画案が認められたら支払うのが一般的です。

履行テストについて
簡単に言うと、本当にその返済計画でやっていけるの?というテストです。3か月~6ヶ月毎月実際にお金を払ってもらい確認します。払ったお金は履行テスト終了後戻ってきたり、個人再生委員の報酬になったりします。

ここまで見てわかる通り、個人再生は手続き自体が複雑で長くかかります。1~6までの期間が1年から1年半ともいわれています。

自己破産はどんな借金救済処置?特徴やメリット、デメリット、向いている人や手続きの流れについて

自己破産は、破産法という法律に則った手続きです。もう借金が膨れ上がって返済の目途が立たない、返していくことはできない、となった時に、裁判所を通して借金をゼロにしてもらうという救済処置です。

税金や教育費、交通反則金などの免責されない借金を除き、借金がゼロになるというものです。しかし、20万円以上の財産は基本手放すことになります。家や車、家財、株などです。

また、手続きしてから借金の免除の決定が出るまでは、仕事や住居に制限が出ることもあります。

自己破産はこんな人に向いています!

  • 膨大な借金を抱えていて、借金返済の目途が立たない(3~5年以内に)
  • 収入がない
  • 自力で生活していく経済力が乏しく、国から援助を受けている

上記に該当する方は、自己破産を行うことで、生活立て直すチャンスを得られるかもしれません。

自己破産のデメリット

  • 家や車などの財産はほぼ手放すことになる
  • ギャンブルなどで抱えてしまった借金は対象外になる場合がある
  • ブラックリスト、官報に乗る
  • 手続き開始から決定までの間、仕事や住居が制限される
  • 自己破産にかかる費用が比較的高い

このように自己破産の手続きは3つの中では最もデメリットが多いので、最終手段として使われることの多い手続きです。

自己破産は、同時廃止事件、管財事件、少額管財事件でちょっとだけ流れが違います。それぞれについてまずは説明します。

同時廃止事件
債権者に渡すほども財産がなく、手続き費用も払えないような場合に破産の開始決定と同時に手続きを廃止する決定をすること。

管財事件
ある程度の財産があってギャンブルなどの原因での自己破産などの時。法人の場合は管財事件が一般的。

少額事件
管財事件の中でも借り入れをしている状況が比較的単純な場合で、弁護士に依頼しているなどの条件に当てはまる時に行われる。

一般的な自己破産の流れ

  1. 相談、依頼、着手金の支払い
  2. 受任通知の送付
  3. 自己破産申立書の作成、裁判所に申立て、予納金支払い
  4. 破産審尋
  5. 破産手続き開始決定
  6. 破産管財人選定、財産処分と債権者集会、引継ぎ予納金の支払い
  7. 免責許可決定、報酬金を支払う

同時廃止事件の時は、6の流れに意見申述期間が入ります。そして、免責許可が確定したら、借金を返す必要はなくなります。

同時廃止事件は通常3~4か月程度、管財事件は半年から1年程度、少額管財事件は4~6ヶ月程度期間を要します。

債務整理以外で借金救済制度と呼ばれる手続きに過払い金返還請求もある!

過払い金の返還請求について、最近CMや広告でもよく聞くようになったので、聞いたことがある方も多いと思います。

過払い金返還請求とは、法律で決まっている金利よりも高い金利で借金をしていた場合に、多く払ってしまった分を返してもらう手続きの事です。

そのため、債務整理の手続きをする際もまず、過払い金があるかどうか確認して、あった場合は過払い金請求の手続きをして、残っている借金と多く払ってしまった分の利息を差し引き計算します。

借金が減ったり、多く払いすぎた利息が借金を上回っていればお金が受け取れるということにもなるわけです。

どんな借金でも過払い金返還請求の対象になるのではなく、一定の条件があります。

過払い金返還請求ができる可能性がある対象

  • 2010年6月18日より前に借金をした
  • グレーゾーン金利で借り入れをした
  • 最後に借りた日、もしくは完済した日が10年以上経っていないこと
  • 借りた先の相手業者が倒産してない
  • クレジットカードのショッピングでの利用したものや銀行カードローン以外

請求には10年という時効期限があることは注意しておきたいポイントですね。自分が該当するかも?と思ったら、時効の10年があるので早めに弁護士に相談しましょう。

グレーゾーン金利って何?どうしてグレーなのかについて説明します

先ほどグレーゾーン金利というのが条件に出てきていましたが、グレーゾーン金利って何?と思った方も多いのではないでしょうか?

グレーゾーン金利とは20%から29.2%の間の金利の事を言います。なぜこの金利の幅が生まれてしまったのか?

過去に借金の上限金利は利息制限法によって上限20%、出資法によって29.2%と、2通りの決まりがあり、利息制限法の上限は超えてしまっても特に刑罰を科されたり、行政処分の対象とはならなかったため、ほとんどの貸金業者が20%から29.2%で貸付を行っていたからです。

2006年に裁判でグレーゾーン金利の範囲で借金をしていた人は法定金利を超えた分返還を認めるとしたので、この過払い金返還請求ができるようになったのです。

そして2010年には貸金業法で貸付の金利の上限は20%に下げられました。

過払い金返還請求にはどんなデメリットがあるの?注意点も解説します

過払い金の返還請求をすると、借金が減ったり、払いすぎた利息が返ってくるという期待ができますが、過払い金請求をしたことによってデメリットもあります。

過払い金返還請求をして、引き直し計算(借りていた取引履歴を元に、利息制限法で定められている利率に直して利息を計算しなおすこと)した後に、借金が残ってしまっている状態だと、債務整理をしたとみなされ信用情報に傷がつきます。

そして過払い金請求を行った貸金業者からは、今後一切お金を貸してもらえない(社内ブラック)ということになります。

しかし、引き直し計算をして借金がなくなれば、一時的にブラックリスト入りするものの、借金清算の確認後、信用情報の事故登録情報はなくなりますので、信用情報への影響は考えなくてもよいでしょう。

このように、過払い金返還請求はデメリットはあるものの、メリットも大きいので自分が当てはまるかもと感じたら弁護士に相談してみるのがいいでしょう。
過払い金返還請求を専門にしている弁護士もたくさんありますよ。

過払い返還請求を弁護士に依頼した場合の流れを説明します

過払い金請求の場合は、任意交渉と訴訟で少し流れが変わります。

任意交渉で過払い金返還請求をする場合

  1. 相談、契約
  2. 受任通知送付
  3. 引き直し計算
  4. 過払い金の返還請求、交渉
  5. 合意が出たら過払い金が返還される

任意交渉は訴訟よりも時間をかけずに過払い金を返還してもらえるメリットがある一方で、取り戻せる金額が訴訟より少なくなることが多いです。

訴訟を起こして過払い金返還請求をする場合

  1. 相談、契約
  2. 受任通知送付
  3. 引き直し計算
  4. 訴訟、口頭弁論
  5. 和解したら過払い金が返還される

時間をかけてもなるべく多くの金額を回収したいといった場合には訴訟が向いています。

時効の援用をすれば借金を踏み倒せる可能性もあるが成功する可能性は極めて低い

借金にも時効があります。お金の貸し手が借り手に借金の返還を求めないまま法律で決まった期間を経過すると、返してもらう権利がなくなり、借りていた人はお金を返す義務がなくなるというものです。

2020年4月以降に借り入れをしたものに関しては時効期間は5年となっています。

2020年3月以前は借りた先の業種や借金の内容で時効期間が変わってきます。主に消費者金融や銀行、クレジットカード会社などは5年としており、信用金庫や住宅ローン、個人でやりとりした借金や奨学金などは10年とされています。

お金の貸し手に「もう時効だからお金を返しません」と伝える手続きです。一般的には「事項援用通知書」を作成しお金の貸し手に郵送することで伝えます。

しかし実際に時効の援用が成功することは難しいのです。

時効の援用のよくある失敗パターン

時効の中断
(時効期間がゼロスタートして位置から更新されること)
時効の停止
(時効の期間を止めること)
・お金を借りていた人が返す意思を示した、借金を認めた
・債権者が裁判所を通して支払督促を行い確定判決が出ると時効が10年に更新される
・債権者の申し立てで保有財産を差し押さえされた時
・債権者が「返済しないなら裁判するよ」という催告書を送ったなど

以上のことで失敗してしまうことが多いので、時効の援用は難しいのですね。

時効の援用が失敗してしまうと、時効の期間が延びてしまったり、過払い金の返還請求が難しくなってしまう、借金の遅延損害金がどんどん増えてしまうなどのリスクがあります。

時効の援用を使って成功したいと考える方は、時効の援用に強い弁護士に相談するのがお勧めです。

【時効の援用を弁護士に依頼した場合の流れ】

  1. 時効の援用の流れは比較的シンプルなものになります。
  2. 時効の消滅の期間に入っているか確認
  3. 内容証明郵便で債権者に時効援用通知書を送る
  4. 債権者が時効援用通知書を受け取り、時効の成立を確認
  5. 借金の返済の必要がなくなる

自分でもできる手続きにはなりますが、時効援用通知書の作成が難しかったり、失敗すると一括請求されるなどのリスクもあり成功率も下がるので、プロの弁護士に依頼するのが安心です。

債務整理にかかる費用どのくらいかかるの?費用相場を項目ごとに詳しく解説します

借金救済制度を行うには主に裁判所費用や、弁護士に依頼するときにかかる費用があります。どんな種類の費用がいくらかかるのか、さっそく見ていきましょう。

任意整理 個人再生 自己破産 過払い金返還請求 時効の援用
裁判所費用 なし 2万円~25万円位 1万~50万円位 なし(訴訟は必要) なし(訴訟は必要)
弁護士費用 5万円~15万円位(債務者1件ごと) 50位万~60万円位 50~80万円位 2万〜5万円位に返還額の約20%が上乗せされる 4万〜6万円位

弁護士事務所によっては、弁護士費用の分割払いを認めてくれているところもあります。

弁護士費用は事務所にもよりますが、主に相談料、着手金、解決報酬金、減額報酬金などがあります。全体的に救済制度の種類によっても変わってきますが、減額報酬金は何%上乗せという形で結果報酬になっているところもあります。

また、弁護士事務所にもよりますが、相談料を無料にしているところも多いので、最初は相談料無料で行っている弁護士に相談してみるのがいいでしょう。

債務整理は司法書士にももちろん相談することができます

借金救済制度は司法書士に相談することもできます。司法書士は業務が限定されていたり、取り扱う金額に制限があったりしますが、弁護士に依頼するより安く済むことが多いです。

弁護士 司法書士
1債務者からの借り入れが140万円以上 ×
1債務者からの借り入れが140万円以下 認定司法書士のみ可
自己破産、個人再生の手続き 書類作成に限る
対応可能な裁判所の範囲 簡易裁判所まで可

以上の事から、司法書士事務所は任意整理を専門に扱っているところも多く見られます。任意整理を検討した場合は司法書士に依頼した方が少し費用を抑えられるかもしれません。

弁護士費用や裁判所費用ってなんの費用?内訳について

弁護士費用、裁判所費用といっても様々な手数料の総称になります。

任意整理、個人再生、自己破産によってかかる費目は変わってきますが、大まかに分けると以下の通りになります。

弁護士費用は護士事務所によって項目や料金は異なります。

弁護士費用の詳細

  • 相談料(無料にしている事務所もある)
  • 着手金(一番最初に手続きを依頼するときに払う費用)
  • 報酬金(減額報酬金、解決法集金、過払い金報酬金など)
裁判所費用の詳細

  • 申し立て手数料
  • 予納金
  • 郵券代
  • 分割予納金(個人再生委員が選任された場合)
  • 破産管財人報酬

などです。弁護士事務所や扱う手続きによって変わってくるので、手続きを依頼する前にかかる費用についてはきっちり確認しておきましょう。

債務整理の手続きで費用倒れに!なんてことにならないようにしましょう

借金救済制度の手続きをとったら、借金が減った分よりかかった費用の方が大きかった!という状況を費用倒れといいます。

一般的な弁護士事務所や司法書士事務所は費用倒れにならないように考えてはくれますが、まれに費用倒れという現象が発生します。

そうならないように、事前に何の費用がいくらかかるのか、借金はいくら減られそうなのか見積りをとっておきましょう。

規定外の費用設定の事務所や誇大広告にはご用心!

借金に困ってしまっているからと、自分だけで解決しようとしてしまうと、かえってさらに大変な事態になってしまうこともあります。

借金を返すためにさらに別の所から借金をして後悔することになった人もたくさんいます。低金利のおまとめローンなどの借り換えたら、さらに長い返済期間になってしまったり、返済金額が大きくなってしまったなんてこともあります。

最近では、「借金を全額なしにできますよ!」という誇大広告もあり、だまされていると知らずに相手に借金が減ると思ってお金を払ったら、借金も減らずに払った金額が返ってこないなんていう詐欺も流行しています。

こういったこともあるので、相談する先は借金相談の専門家で実績のある所を選びましょう。

任意整理の場合は日本弁護士連合会で解決報酬金1社につき2万円以下、減額報酬金は減額した金額の10%以下と決まっています。

任意整理でここの事務所、高すぎない?と思ったら、日本弁護士連合会の規定と比較してみるのも安心して依頼するための一つの方法です。

借金減額診断とは?借金救済制度と言われる債務整理で借金減額できるかわかるツールです

借金減額診断とは、借金を減らすことができるかどうか診断するツールです。借金減額診断ツールに入力したことで借金が減るわけではないので、注意して下さい。

借金減額診断では主に

  • 過払い金の有無
  • 債務整理をしたら借金を減らせる可能性があるのか
  • 借金減額も予想はどのくらいなのか

を診断してくれます。

そんなこと言って、入力した個人情報は大丈夫なの?減らせると甘い文句で近寄ってきて、結局お金は減らないんじゃないの?こんな便利なツールが無料で使えるのは怪しい…なんて不安に思う方も多いと思います。

安心してください!

まず、借金減額診断は弁護士や司法書士事務所が運営しているものがほとんどで、自分の事務所で相談してくれるお客様を増やす目的に作られたサービスのようなものです。だから利用料も無料です。

借金で困っている方にも、直接弁護士に相談するのは躊躇してしまう人もいるでしょう。そんな時に相談するきっかけを作ってくれるのです。

借金減額診断は借金をいつ、いくらしたのかや、収入などいくつかの質問事項を入力したあと、診断結果が出ます。

しかし、あくまでも大まかなデータに沿った診断になるので確実ではありません。正確なことを知るのは弁護士に相談する必要があります。

怪しくない!安心安全な借金減額診断を見分けるポイントとは?

借金減額診断は今、WEB広告などでもたくさん見かけるようになりました。どの借金減額診断を使ったらよいのか、迷ってしまうこともあると思います。

借金減額診断を使うときにチェックすべきポイント

  • 実績がある事務所かどうか(運営元がしっかりしている)
  • 必要以上の個人情報の入力を求められない(住所や勤務先などは診断の段階では不要)
  • 個人情報保護法に則ったプライバシーポリシーの表示がある

個人情報の入力は診断段階では不要ですが、より詳しいことを知りたい場合には個人情報の入力を求められることもあります。名前やメールアドレスや電話番号などの連絡先です。

借金減額診断を使った悪質な業者もいます!利用料や手数料がかかったり、個人情報の取扱に関しての表示がない、個人情報を詳しく聞いてくる業者にはくれぐれも注意しましょう

借金減額診断を使った人の個人情報を悪用している業者がいるのも事実です。そのため、運用元や実績をしっかり確認しましょう。

また、借金減額診断と間違えそうな「借金返済」と記載のある家計簿アプリなどもあるので間違えないようにしましょう。

弁護士や司法書士事務所は、守秘義務があり、仕事で得た情報を他に漏らしてはいけないと定められていますので、安心して使うためにも「実在している弁護士事務所・司法書士事務所」の借金減額診断かどうかは最低限確認しましょう。

借金救済制度にまつわるよくある疑問、質問にひとつひとつ回答します!

借金救済制度について、多くの方が疑問に思うことやよくある質問に回答していきます。

Q1:借金救済制度って何ですか?

A1:借金救済制度という制度自体はなく、一般的に借金を減らしたり免除したりできる「債務整理」や「過払い金返還請求」などを指しています。
債務整理や過払い金の返還請求は法律で認められた借金に困っている人を助ける方法です。

Q2:今収入がない状態なのですが借金トラブルの解決はできますか?

A2:近々定期的な収入がある場合や、借金を支払いできる財産があれば任意整理という方法で、将来払う予定の利息をカットして借金自体を減らすという方法ができることがあります。

定期的な収入の目途も立たず、借金支払いに変えられる財産もないという場合には自己破産という方法で、生活に必要な最低限の財産以外を手放して借金をゼロにするという方法もあります。

任意整理の場合は信用情報に事故登録されますが、財産は手元に残すことができます。

Q3:以前、借金を返せなくなってしまった時があったのですが、過払い金は返還してもらえるのでしょうか?

A3:昔延滞してしまっても、過払い金の返還請求をすることはできます。法律に則った金利で計算をし直して差額分を回収します。過去に発生していた遅延損害金も、高すぎる金利で発生している可能性があるので、その差額も回収できることがあります。

Q4:信用情報って何ですか?

A4:信用情報とは、簡単に言うと貸金事業を行っている業者が、お金を貸す時に「この人は返済能力がある人か?」「貸したら返ってくるか?」ということを基準にして、お金を貸したりクレジットカードを作る時の審査の基準にするものです。返済を延滞したり債務整理したりするとこの信用情報に事故登録が入ります。これがよくいうブラックリストに載る、信用情報に傷がつくということです。

Q5:債務整理をしたらクレジットカードは使えなくなりますか?

A5:はい。クレジットカード会社によって若干規定が異なりますが、基本的には債務整理をするとブラックリストに載るので、使えなくなると考えておいたほうがいいでしょう。

Q6:債務整理すると家族に借金を知られちゃいますか?

A6:依頼する弁護士事務所や司法書士事務所に相談してみてください。ご家族に知られたくないという方も多いので、そのように対応してくれる事務所も多くあります。郵送やメール、電話など、連絡手段についても相談に乗ってくれるところが多いです。

借金救済制度とは債務整理のこと!自分に合った方法で借金問題解決の一歩を踏み出そう!

ここまでお読み頂き、借金救済制度は怪しいものではなく、実際に借金の苦難から救ってくれる制度であることがわかりましたね。

方法はいくつかあり、自分に合った方法を選ぶことが最重要となってきます。合わない方法を選択してしまうと、デメリットが莫大なものになってしまいます。

そうならないためにも、事前に手続きの概要をつかんでいただき、実績ある信頼できる弁護士、司法書士事務所に相談しましょう。

借金の苦境から抜け出して、生活再建の新たな一歩を踏み出せることを祈っています。